先人の知恵トップ

見えるままを記録する工夫
=スキャン(走査)するというアイディア(2)=


映像(光)を電気信号に変える工夫
光を電気信号に変えるためにはスキャン技術と並んで、光を電気信号に変換するための素材の登場が重要です。ベインのファクシミリは、画像を電気信号に変換はしていましたが、光を直接電気信号に変換するのではなく、画像を一度、凹凸の表面を持った通電性のある印刷原稿のようなものに加工し、凹凸を金属の針で走査し電気が流れるかどうかを探り電信に載せるための電気信号を得るというものでした。

セレン元素(セレニウム)の発見
光を直接電気信号に置き換えのためには、電気信号に変換することの出来る素材が必要でした。1817年スウーデンのベルゼリウスが硫酸スラッジから労働者の健康を害する毒性の物質を探す過程でセレン元素(セレニウム)を発見しました。この元素はしばらくの間、実質的な用途がないまま特に注目はされなかった元素でしたが、「見えるままを記録する工夫」の発展にとって重要な元素でした。

セレンに光を当てると電気抵抗が減少
1873年、スミス(英)はセレンに光を当てると電気抵抗が減少することを発見しました。光の強弱により電気抵抗が変化するということは、画像を1次元の情報に分割スキャンし、1次元に分割された画像を光の強弱として読みとれば、連続した電気信号に変換することが可能で、受け取った電気信号は逆に光の強弱として再構築することが出来るということでした。

光を電気信号に変化させて送るファクシミリの考案
ビッドウエル(英)は、まさにこの方式のファクシミリを1881年に考案し、Scanning Phototelegraphと命名しました。彼のファクシミリはドラムに巻いた画像を「セレン」の光を当てると電気抵抗が減少するという性質を利用したセンサーで読みとり、光から電気信号へ変換するというものでした。この方式は基本的に現代のファクシミリと基本的に共通のものです。 これにより映像をスキャンし連続的な電気信号に変えて処理するという現在の種々の情報機器の基礎をなす概念がそろいました。


セレンを使った露出計

今はカメラそのものに露出計が組み込まれていますのであまり見ることはありませんが、セレンを使った露出計です。
カメラで撮影する時に適切な露出(シャッタースピードと絞りの程度。露光時間)を測定する露出計には「セレン」が使われています。「セレン」に当たる光を電気に変えて針を動かてし明るさを測ります。
「 光を電気に変える」ということは現在のテレビやデジタルカメラが出来上がる基礎を成すものです。現在私たちが日常的に使っている便利な製品には「光を電気に変える工夫」が利用されているものは数多くあります。


テレビ、ビデオにもスキャンと光を電気信号に変える工夫が・・・!
画像を伝送するファクシミリとして始まった「もう一つの記録方式」は更に発展して種々の果実を実らせることになりました。テレビもその一つです。テレビは1秒間に30コマの画像が映し出されています。この1秒間に30コマ映し出される画像の1枚1枚は、ファクシミリで画像を送信する場合と同じ様に2次元の画像を分割・スキャンしたものです。テレビの場合、ドラムに巻き付けた画像をスキャンするという形は取れませんのでスキャンの方式は少し違いますが、レンズでとらえた2次元の画像を連続的にスキャンして電気信号に変換するという点では共通しています。

デジタルカメラにも・・・!
デジタルカメラはテレビ・ビデオより遅く登場しましたが、レンズを通してとらえられた2次元画像を電気信号に変換し記録するという点は共通しています。


ビデオも素人が簡単に使える時代に突入!

素人でも使えるビデオカメラが出現し比較的簡単に動きを記録できるようになりました。

このページの上へ