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*** 逆さまでも使えるポンプの巻 (3) ***

17.更に不要部分を切りはずしましょう!

更に不要部分切り取りましょう。
このタイプのポンプは形を整えるため、プラスチックのカバーが貼り付けられています。不要と思われる部分をノコギリで切り落とします。


18.ポンプの部分の主要な部品が出てきました

不要部分を切り離し部品をバラバラにしてみました。

19.ポンプの仕組みを更に詳しく見てみましょう

ポンプ部分を詳しく見るために更にノコギリでパイプ部分を切りますB筒の中に何かが見えます。ポンプを構成する2つの弁がこの中にあると思われます。
パイプの上には2つの穴があります。上側の穴はノズル部分につながっています。下側の穴はピストン部分につながっており、グリップを握ると、この穴を通してパイプ(ポンプ容器)側に空気が送られポンプ容器の中の圧力が高まります。


20.中から2つのプラスチック部品が出てきました

中から出てきたプラスチックボールと、右側の細長いプラスチック部品も弁でしょう。これらはポンプの基本的な部品です。
プラスチックボールは吸水弁(ボトルから洗剤をポンプ容器まで汲み上げる)、もう一つの弁は吐出弁(ノズルに洗剤を送り出す部分に使用)です。
パイプ上に2つの穴も見えています。右側の少し大きめの穴は汲み上げた洗剤をノズルの先に送るための穴です。もう一つの穴はピストンにつながっていて、グリップを握るとピストン容器内の圧力が上がり、それがポンプ容器内の圧力を高め、洗剤をノズルから噴射させます。
数字の8のような形をした部分がバネの役目をして通常はポンプ容器(中央の穴が2つあるパイプ部分)にフタをした状態です。グリップを握るとポンプ容器内の圧力が高まりそれに押されて8の字がつぶれて右側の大きい方の穴からノズルへ洗剤が押し出されます。


21.グリップ式のポンプの仕組み

グリップ式のポンプのおおざっぱな構造が分かりました。
グリップを握るとピストンが押され、ピストン内の圧力が高まり、ピストン容器とポンプ容器を結んでいる穴を通してこの圧力が伝わります。
圧力が高まると上の弁は押されて「開」の状態になります。下のプラスチックボールの弁は押されると下につながっているパイプにフタをします。
その結果逃げ場のない洗剤がノズルを通して噴射することになります。
逆にグリップが戻る時には、上の弁は「閉」になり下の弁は「開」になり圧力が下がったポンプ容器に下から洗剤が汲み上げられます。


22.逆さまでも使える仕組みを復習

すでに初めの部分でなぜ逆さまにしてもポンプが使えるかを書いてしまいましたが、復習の意味でもう一度「そのままの状態で使う」時と、「逆さまで使う」時の両方を並べて見てみましょう。

☆逆さまにしても使える工夫☆
1) 通常の状態で使うときには外側の筒の中の鋼球は液面より上にある空気がポンプ部分に入り込まないようにフタをする役割をしています。空気が入り込むと液体より空気の方が軽いためポンプ容器に空気が入って汲み上げたい洗剤は上には上がって行けません。そのため、空気が入らないようにする必要があります。
2) 逆に「逆さまで使う」時には、ポンプ部分をふさいでいた鋼球は下(逆さの状態の下)に移動します。このためボトルの下まで伸びているパイプが液面より上に出ていても、外側に取り付けた筒の横から洗剤が入りますのでポンプ部分に連続的に洗剤が供給されます。
3) 「逆さまで使う」時にはボトルの下に伸びたパイプの上には空気がありますが、その下には空気より重い液体がありますので、ここから空気がポンプに吸い込まれることはありません。

☆ 外側に取り付けた筒と中に入った鋼球がなかなかうまい働きをしていますね。
☆ この図面はポンプ部分は簡略化していますので逆さまにしても使える工夫の部分を中心に見て下さいね。
☆ シンプルですがすばらしいアイディアですね。簡単でありながら常識的でない「逆さま」でも使えるポンプを実現した工夫には脱帽です!


23.そのままの状態での噴射と逆さまでの噴射

そのままの状態でグリップを握って噴射する時と、逆さまにして噴射する時の各部分の動きです。それぞれの弁がどうなっているかをご覧下さい。

24. 念のためプラスチックボールの比重調べました

中に入っている洗剤とくらべプラスチックボールの比重がどうなっているのかを調べるため、洗剤の中にボールを入れてみました。
写真の様にボールはわずかに頭を出して浮かんでいます。これはボールの比重がほぼ洗剤と同じ(ほんの少しだけ低い)ということです。
鋼鉄のボールでは洗剤にくらべ極端に比重が高くなりますので、逆さまにするとポンプ容器の中の圧力が高まっても、容易に弁としては働かないでしょう。しかし比重がほとんど同じプラスチックなら、ポンプ容器内の圧力が高まれば、ボトルの底への通路をふさぎ、ポンプ容器内の圧力をボトルの底側に逃がさない働きをします。
逆さまでも噴射出来るポンプとするためには弁の材質についても工夫されているのでしょうね。

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