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見えないものを見る工夫
=顕微鏡の考案(2)=
レンズを組み合わせると倍率を高くできることを発見
<顕微鏡の発明>
顕微鏡を誰が発明したのかはあまり定かではありませんが、16世紀の終わり頃(1595年頃)、オランダのヤンセン(Zacharias Jansen)が2つのレンズを組み合わせれば倍率を高くすることが出来ることを見つけ出して発明したと言われています。
しかし、ヤンセンが考案した顕微鏡は倍率もわずか3倍から9倍程度で、目でのぞく側(接眼側)対象物に近づける側(対物側)を円筒でつないだようなもので、長さは最大に伸ばした状態で45cm程度、直径は5cm程度だったようです。

蚤の足を見たり昆虫を観察したり・・・
<顕微鏡は初めの頃、娯楽的・趣味的なものだった>
17世紀後半まで、顕微鏡は科学的な発見のために役立つ道具というより蚤の足を見たりその他の昆虫の観察を楽しむような、もっぱら娯楽的・趣味的なものだった様です。
顕微鏡を初めて重要な科学的な業績に結びつけたのは、イタリアのマ泣sギー(Marcello Malpighi 1628-1694)やイギリスのフック(Robert Hooke 1635-1703)です。
イタリアのマルピギーは顕微鏡を使い毛細血管を発見しました。顕微鏡を使った17世紀の重要な発見の1つです。この発見で、ハーベイ(William Harvey)がとなえていた血液循環説を証明することになりました。今では当たり前と考えられている血液の循環ですが、顕微鏡が一歩一歩、科学の進展に寄与してきた一例です

細胞の発見、ロバート・フック
フック(Robert Hooke 1635-1703)は自分では顕微鏡を作りませんでしたが、顕微鏡を使った研究結果を1665年に「Micrographia」という本にまとめました。この本の中で、コルクの観察から初めて細胞(cell)という言葉を使いました(細胞を発見しました)。
ロバート・フックが使っていた顕微鏡はクリストファー・コックという人が作ったものでしたが、水の入った丸い容器の後ろにオイルランプを置いて対象物に光を集めて観察するというのはフックが工夫したものだと言われています。光をこの当時のレンズの製造技術、レンズの色収差、球面収差の問題で倍率は40−50倍程度だったと考えられます

ロバート・フックの顕微鏡(「Micrographia」に掲載の挿絵)

"Micrographia or Some Physiological Descriptions of Minute Bodies"
R.Hookeから

ロバート・フックの顕微鏡

ロバート・フックが使っていた顕微鏡は水の入った丸い容器の後ろにオイルランプを置いて対象物に光を集めて観察するというものです。この水の入った容器とオイルランプで光を集めるというのはフックが工夫したものだと言われています。

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