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*** ボールベアリング ***

車輪やモーターなどをスムーズに回転させるためにボールベアリングは不可欠な部品です。今回は、ボールベアリングを分解してみました。
ボールベアリングは丈夫な金属で作られていますので、簡単には中を見ることはできません。そのため、ダイヤモンドカッターで一部を切って分解しました

自転車、扇風機、CDやDVDプレーヤー等、回転する部分のある装置は、スムーズに回転させるためには回転時の摩擦を少なくする部品が重要です。そのような回転時の摩擦を少なくする部品としてボールベアリングも使われています。ボールベアリングにも様々な形や大きさのものがあります。そのうちの一つを分解してみました。
モノを動かしたり、回転させようとすると摩擦でスムーズな動きが制限されます。摩擦を減らすことが出来ればよりスムーズな動きを実現できます。
潤滑油を差したり、よりスムーズに動く様に形を工夫することでも摩擦を減らすことになりますが、ボールベアリングを使うと大きな効果が得られます。接触している部分が摩擦でこすれ合う代わりに、面の上をボールが転がることになるので摩擦が非常に低くなります。
ボールベアリングの内部には金属製のボールが使われています。ボールの代わりに円筒形のローラーが使われているローラーベアリングもあります。いずれも金属のリングの中でボールやローラーが転がり摩擦を大幅に減らしてスムーズに回転するように工夫されています。

1. 今回の分解対象のボールベアリングです。
   直径(外径)は47mm、内径35mmです。それほど大きなものではありません



このボールベアリングは動きが悪くなって取り替えたものです。後の写真で示しますが、なぜ動きが悪かったのかも明らかになりました。中の鋼鉄製のボールに細かい傷が出来、ボールがうまく回転しない状態になっていました
このボールベアリングはボールが収めてある部分にカバーが取り付けられた形式で、内部が見えない構造のものです。

2. ボールベアリングの一部を切って外側のリングを外します



右側に見えるのが外側のリングです。このリングの裏側を見てください。ボールが転がるための溝が作られています。ボールはこの溝の中を転がることで摩擦を軽減しています。
左側には鋼鉄製のボールが規則正しく並んでいます。ボールを外側から保持するための仕組みも見えます。ボールはこの保持機構の中で自由に回転することが出来ます。

3. ボールの上下にセットされている蓋状の部品も外しました。



このボールベアリングは外側のリング、内側のリング、内側と外側のリングの間にボールを保持する機構に収まってボールが規則正しく配置され、更にそれを上下から蓋状の部品で覆っています。
分解の段階で一部のボールが保持機構から外れましたが、外れないものもあることから考えると、製品として作られた時にはボールの保持機構にきちんと保持され、ボールは自由に回転はするが、外れないように作られていると思われます。

4. 分解した全ての部品を見てください



この写真の一番右側の上側のリングは、ボールベアリングの内側に使われているリングです。このリングの外側に溝が作られています。外側のリングの裏側の溝とこの溝の間をボールが回転する構造となっています。
右側の下はボールの保持機構です。 

5. ボールの保持機構



鋼鉄のボールが規則正しく収まる様にボールの丸みに合わせ上下から押さえる形でボールが保持されている。ボールは保持機構の中で自由に回転出来る様に作られている。

6. ボールの保持機構のクローズアップ



細い鉄の板をボールの形状に合わせて窪ませ、ボールを上下から押さえることでボールを保持しています。
上側のボールの光沢が鈍いのが分かりますか?このボールの表面には無数の傷があり、これがこのボールベアリングの動きをおかしくした原因なったと考えられます。
本来表面はスムーズで極力摩擦の少ないものに仕上げられているはずですが、何らかの原因によりボールの表面に傷が広がり、このボールはスムーズに回転しなくなったと思われます。傷は写真に写っているボールのみにありました。たった一つのボールの傷でも全体の動きに悪影響を与えることになるようです。
このボールベアリングは機械装置の中で10年以上使われていたものです。10年以上使用してボール1個に傷というのは耐久性としてすごいなとも思います。

7. ボールの固定



上下の細い鉄の板は片側から伸びた爪で押さえることで固定されています。極めて小さな部分ですが片側から伸びた鉄の爪が重要な役割を果たしています。
この爪を見るとほとんど見過ごしてしまうような細かな部分にもいろいろな工夫が隠されていることが分かります。ベアリングに使われている鋼球は世の中で最も真の球と言えるものだそうです。鋼球を作るためにも種々の工夫がされているのでしょうね。



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